口癖が「知ってる」の人はどんな心理？その背景と接し方を解説

エピソード

昼休み、社員食堂で同僚の佐藤さんが「昨日テレビで面白い特集やっててさ」と話し出しました。話題は最近注目の健康法で、周囲の同僚も興味津々。しかしその瞬間、別の社員の田中さんが「あ、それ知ってる！〇〇するやつでしょ！ちょっと前にネットでも話題だったよね」と食い気味に反応しました。

その言葉で会話の流れが止まり、佐藤さんは少し気まずそうに笑って話をやめてしまいます。他の同僚たちも「知ってるならもういいか」といった空気に。盛り上がるはずだった話題が一気に冷めてしまいました。

実は田中さん、普段から「知ってる」が口癖。本人は会話に参加しているつもりでも、周囲には「話の腰を折る人」と見られてしまっているのです。

このような何気ない一言が、職場の雰囲気や人間関係に影響を与えることもあります。話し手の気持ちを考えた言葉選びが、円滑なコミュニケーションには欠かせません。

会話の中で頻繁に「知ってる」と口にする人、あなたの周りにもいませんか？何を話しても「それ知ってる」「前に見たよ」と返ってくると、時に会話が盛り下がったり、話す気が失せてしまったりすることもありますよね。

でも、なぜ彼らはそんなに「知ってる」と言いたくなるのでしょうか？今回は、そんな口癖の裏にある心理や特徴、そして適切な接し方について解説します。

「知ってる」という言葉は、自分が情報に詳しいことを相手に伝える行為ともいえます。これは、「自分は知識がある」「物事に詳しい」とアピールすることで、優位性や存在感を示したいという心理が働いている場合が多いです。

とくに、自己肯定感がやや低い人は、自分の価値を認めてもらいたい気持ちからこの口癖が出やすくなります。

「知ってる」と言うことで、その話題を自分の知識の土俵に持ち込み、会話の流れをコントロールしようとする意図も見られます。無意識に「自分が主導したい」という欲求が働いていることがあり、相手の話に割って入ってしまう傾向もあります。

相手が話し始めた途端に「それ知ってる」と言うと、話し手は「自分の話は価値がないのかも」と感じることがあります。この言葉は、聞き手に悪気がなかったとしても、話し手にとっては興味を持ってもらえなかった、否定された、と捉えられてしまうことがあるのです。

「知ってる」と言われることで、会話が早々に終わってしまったり、発展しづらくなったりします。結果として、円滑なコミュニケーションが取りにくくなり、人間関係の距離が生まれてしまうこともあります。

「知ってる」と言われても、そこで話を終わらせるのではなく、「そうなんだ、じゃあ他にどんなこと知ってる？」と会話を広げる方向に持っていくと、相手も満足しつつ、良いコミュニケーションが取れるようになります。

毎回真剣に反応していると疲れてしまうこともあるので、相手の「知ってる」発言を流しつつ、自分の話したいことを続ける、あるいは「じゃあ知らない人向けに話すね」と前置きして話を進めるとスムーズです。

誰でも知識を持っていることを認められたい気持ちはありますが、会話の中では「へぇ、そうなんだ」と相手の話に興味を示すほうが、関係が深まりやすくなります。たとえ知っている内容であっても、一度は相手の話に耳を傾ける余裕を持つのが大切です。

会話は情報交換だけでなく、「気持ちの共有」でもあります。相手が楽しそうに話しているときは、内容よりもその熱量や気持ちに注目して、聞き手に回る姿勢を取ると、自然と「知ってる」と言いたくなる衝動も減っていきます。

「知ってる」という口癖の裏には、自己肯定感の低さや、会話の主導権を握りたいという深層心理が隠れていることがあります。

ついその言葉にイラッとしてしまうこともあるかもしれませんが、背景にある思いや心理を知ることで、より柔軟な対応ができるようになります。

また、もし自分が「知ってる」と言いがちな場合は、相手への思いやりや会話の空気を意識するだけで、コミュニケーションがよりスムーズになるはずです。